
Federal Technical Alert (全文)
アメリカ合衆国エネルギー省発行
1998年4月
貫流型熱コレクター
( 株)
ロゴスシステムズ
訳
技術について
概要
本技術は、極めて単純である。 FIG-2に示すように建物の構造壁に、15cm程の隙間を空けて、多くの穴を有する黒色の貫流型の熱コレクター(以下コレクター)パネルを取り付ける。この黒色壁は大量の太陽熱を吸収し、この熱を空気の加温に使用する。
このコレクターは、南面の壁に設置され、 40°F、4
ft3
/min・ft2
(4.44℃,1.22m3/min・m2)の空気を予熱する事が出来る。即ち、年間1
ft2当たり240,000Btuの熱量(2,583,423
Btu/m2)を吸収するコレクターでもある。
FIG-3,4に示すように、このコレクターシステムは、室内に予熱された外気を導入する為に、バイパスダンパーを設ける。夏場は、このダンパーは
開放となる。このダンパーは、取入れ空気の温度が64°F(17.78℃)になると、自動的に外部放出となる。
この“Federal
Technology Alert”には、1989年最初に市場に登場して以来、この太陽熱による換気用空気の予熱技術について、種々の名称が採用されている。
適用分野
本システムの連邦政府による評価は十分に行なわれている。冷え切った建物を加温する場合、本コレクターシステムを使用する事により、太陽光のメリットを受ける事が出来る。
一方、大量の新鮮な加温空気を必要とする建物の場合、例えば機械工場、車両のメンテナンスを行なう建物、化学製品の貯蔵設備等は、本システムを適用する最適な対象と言える。連邦政府の各部門の設備の中で、これに適合する対象は 1000を超す事になろう。
エネルギーを生み出すメカニズム
このコレクターは、吸引する外気を太陽エネルギーを用いて予熱する事により、建物の暖房システムの負荷を低減させる。即ち、外気温を 40°F(4.44℃)まで高め、昼間暖房に要する負荷の全て或いは、その一部を低減させる。曇りの日或いは外気温が急激に低下した場合、本コレクターを用いても、要求する室内温度には達し得ないかもしれないが、それなりの効果を十分に発揮する太陽熱吸収能を有する。即ち、黒色に塗ったコレクターは、太陽光による吸収可能エネルギーの60〜75%ものエネルギーを吸収する事が出来る。最近世の中に出ている太陽熱吸収コレクターの中でも、最も効率の優れたものの1つに挙げられている。
直接的に太陽熱輻射を吸収する事に加えて、このコレクターは間接的に太陽光の散乱、反射による輻射をもとらえる事が出来る。事実、晴天時の輻射の 1部、そして曇りの日のすべての輻射はこの散乱によるが、このコレクターは地球に到達する年間トータル輻射量の約25%を吸収する。
壁を形成する黒色の波形金属シートは、 0.8mm厚みのものであり、代表的な材質は、アルミニウム、及び亜鉛引き鉄板である。空気は1.6mm径の、ある間隔で作られた穴を通して流れる。コレクター表面の穴の占める面積は、ポロシティ(%)として定義される。
クリーンであり、無料の太陽熱エネルギーを利用する事により、建物の暖房に要する負担を低減させる事に加えて、このコレクターは他の方法で更に効果を高める作用を行なう。
即ち、このコレクターは、南面の壁を通して建物から逃げる熱を捕まえ、再度この捕まえた熱を、予熱された外気に加えて室内に循環する。また空気循環の際、天井に設けたダクトを通して、予熱された空気を室内に効率よく導入するので、高い天井にありがちな室内の非効率な空気の層別温度分布を解消することになる。
その他のメリット
このコレクターによる太陽熱吸収は、換気用空気の予熱に使用される化石燃料を代替する。結果として、換気用ファン、ダンパーに使われる若干の電気消費はあるにせよ、温室ガス(CO2)および酸性雨の発生( SOX,NOX)を押さえる事になる。
また、このコレクターは南方向だけの設置となるが、クリーンでしかもぴしりと建物の外観を改善する事になる。以前の太陽熱コレクターの多くは、黒色だけであったが、このコレクターは使用者の好みにより、他の色彩の使用も可能である。最近の製品は、暗色調の茶、灰、青、或いは赤の各色も使用されている。
施工
このコレクターは、建物の外壁に取り付けられる。建物のフレームは、通常このコレクターを保持するのに十分なものであり、パネル保持の為の梁を増強したり、或いは施工コストが高額になる事はない。既存の建物に施工する場合、他の理由でパネル取り付け部分を新設したり、或いは建物自体リフォームが行われる時は、このコレクターの経済性はかなり改善される。即ち、このコレクターの施工が、他の工事との一環のなかで行なわれるならば、このシステムの投資による回収期間は、半分程度まで減少させる事が出来る。
このコレクターは、垂直或いは水平のZ -チャンネルによる格子を用いて、壁に装着される。このチャンネルは、壁とコレクターパネル間の空気の流れを調節する為に穴が空いている。垂直なチャンネルは既存の壁に付けられ、水平のチャンネルは先の垂直のチャンネルの上に取り付けられる。そして穴明きコレクターは、水平のチャンネル上に取り付けられ、固定される。
ファン、ダンパー及びサーモスタッド調節器を含むファンユニットは、南面壁の内壁に直接取り付けられる。取り付けるファンユニットに対し、取り付ける為の穴は、建物の中に外気を挿入する為に壁に設けなければならない。パネルシートとメタルダクトとの間隔は、ファンと壁の間で通常のシールが出来る程度あれば良い。施工期間は、建物の構造設計、コレクターの総面積にもよるが、既存の壁の施工は、大略 10〜14日間程度要する。
連邦政府による評価
本新技術を使用する事による省エネ効果は、既に「 New
Technology Demonstration Program」による技術評価プロセスの中で行われている。
技術評価プロセス
この“ Federal Technology Alert series”(連邦政府による新技術発見シリーズ)によって発表された新技術は、商業上の刊行物により或いは直接の発表を通して確認されている。
数多くの反応が、製造者、公益事業者、商業上の各種協会、研究機関、連邦政府機関或いは関連機関より得られている。即ち、省エネ、材料コスト、施工コスト及びメンテナンスコスト等の評価である。これらは現実に経験のあるデータであるのか、未だ立証されていないデータなのかに分類されている。本コレクターは、いくつかの連邦機関より、設備コスト、現在の正味のデータ並びに省エネに関し、ライフサイクルの点で効果のあるものであると評価されている。また他にいくつかの立証されているデータが、 Federal
TechnologyAlertsを通して発表されている。
省エネ評価と市場性
FIG-5 に3つの異なった地域において、また3つの天然ガスの価格に対応する本コレクターの平均回収年数を示す。このデータはSAIC(Science
Applications International Corporation)によって行なわれた分析結果から求めてきたものである。またこの機関は、
International Energy Agency と共同で、異なった気候における本コレクターの経済性を評価する為に、広域モデルに関するソフトの開発を行なっている。このモデルは、補助的に予熱用の燃料コスト、ファンを動かす為の電気のコスト、地理的な場所並びに建物のタイプをインプットする事により、回収年が簡単に出てくるようになっている。
SAIC は、極めて異なった気候の3つの地域を選択し、このモデルを用いて回収年の計算を行なっている。即ち、 Colorado州 Denver、Washington
DC
、New
York州 Syracuseの3個所である。またこのモデル地域において、天然ガスの価格を、3〜24
ドル/MBtu、(電気については0.08ドル/kwh、「10.8円/kwh
135円/ドルで計算。以下同。」)の範囲で変動させた時の回収年比較を行なっている。この回収年は、建物を建設する時、コレクターが同時に設置されるものとしており、その時の設置コストは、5ドル/ft2(7,266円/m2)としている。また既存の建物に、このコレクターを設置する時は、新設の時の2倍
約10
ドル/ft2(14,532円/m2)かかるとしている。
研究機関の展望
Colorado 州GoldenにあるNRELの研究者たちは、1989年よりこのコレクターの開発に取組んできている。即ち、NRELの研究者及びConservalの技術者は−同時にそして夫々独立して−、太陽熱コレクターとして、亜鉛めっき無処理の穴明き金属板を使用するコンセプトを推進してきた。研究者は、効率の向上に改良を重ね、その熱伝達の基本的なメカニズムと空気の流れの把握を行なってきた。これらは、米国及びカナダの多くの大学において、研究報告として発表されている。またこれらは、15ページの文献欄に記載されている。
研究機関はまた、連邦政府関連或いは私立の研究機関において、このコレクターのモニタリングを行なってきたし、現在継続中のものもある。このモニタリング・プログラムによる多くの結果は、「このコレクター技術が頼りになる方法であり、省エネ策にとって効果的な方法である」ことを示している。彼等はまた、本技術の性能を評価する為に使用されている現在の方法が、正確な方法である事を示している。
利用・用途
ここでは、このコレクター技術の利用について、技術的な観点から指摘することとしたい。即ち、このコレクター技術が最も適合する分野並びに気候の範囲等であり、その内容は設計、及び完成までの検討課題例えば、装置、材料・施工コスト、施工詳細、メンテナンス、コード、スタンダード等々である。
適用に当たって
本コレクターの使用に当たり、最適な形で且最も優れた結果を生み出すように、多くの要因が取り上げられている。
適用の必須条件
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適切な南面の壁 |
まず建物の南面の壁に、この金属製のコレクターを設置する事が出来る十分な壁面積が
確保される事が必要である。南面に多くの窓、ドアがあり、これらの占める面積が大きい場合は適切ではない。これらをふさぐ事により、1日中日陰を作ってしまう事になるからである。またこのコレクターを効果的に使用する為には、必ずしも建物の真南である必要はない。最適の条件は、真南に対し±20度以内であるが、±45度の範囲に入れば良い。
・換気負荷
このコレクターを付ける対象の建物は、比較的換気をあまり行なっていないケースが最適である。また長期貯蔵の倉庫などは適切なものではない。理由はこのような建物は換気を行なう構造になっていないからである。100%換気したり、集塵したりする様な場合も適切であるとは言えない。後程ふれるが、コスト効果に対し換気の負荷の影響が大きく影響してくる事になるからである。
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暖房設備のない事 |
通常の最近のオフィスでは、多くは暖房設備がついている(工場ではついていないケースが多いが)。このコレクターを付ける場合、機能的にはこの暖房設備は余分なものになるので、この設備がついている所は適切とは言えないかもしれない。
コスト的に有利になりうる要因
次の項目は本コレクターを設置する際、有利になりうる要因である。 9〜11ページにワークシートを示すが、これに従い種々のデータを入れる事により、省エネの計算が出来るようになっている。
・通常のエネルギーコスト
現在暖房に使用しているエネルギーのコストは、本コレクター採用の際のコストメリットに対し極めて大きな要因となる。どのような種類のエネルギーを使用しているのか、またその価格はどうかと言う事である。通常のエネルギー即ち電力、化石燃料或いはスチーム等の価格は期毎、或いは季節毎に変化するものである。エネルギー価格が高いほど、このコレクターのコストメリットは増大してくる。
・気候
このコレクターは暖房期間が長いほど、また天候が良ければそのコストメリットも増大してくる。
・プロジェクトの大きさ
このコレクターは多くの巨大な工場に設置されてきたが、勿論小さな規模のものに適用する事も可能である。成功するかどうかの判断として、対象建物の換気の程度がある。例えば、小さい工場でも、機械工場のように外気を大量に取り入れる様な場合、控えめな換気をしている大工場と同じようにこのコレクターの適用性は良好となる。 American
Society of Heating、Refrigerating
and Air-Conditioning Engineers Standard 62 に必要換気係数が記載されているので参考にしていただきたい。コレクターの設置量が少ない場合、相対的に設備費は増大し、或値以下になると設置しても採算が取れない事になる。コスト関連の要因を吟味しなければならない。
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新設と既設建物への適用 |
新設の場合、既設建物へのコレクター設置に比べ、建設費は50%まで低減する。
どこに適用するのか
次の対象がこのコレクターの最も優れた適用例である。
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製造工場 |
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車両のメンテナンス設備 |
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危険な廃棄物貯蔵の建物 |
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体育館 |
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飛行機の格納庫 |
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学校 |
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換気を必要とする倉庫 |
避けなければならないケース
このコレクター使用に当たり、コスト的にみて芳しくないケースは以下の通り。
- 外気を必要としないケース。
- 南面をふさぐ事が出来ないケース。
- 既に暖房の設備がある建物
- 暖房の期間が短い地域
- 高層の建物(Fire codeのトラブルの可能性から)
設備の統合
このコレクターシステムは、既存の建物の暖房システムとは独立して運転される。しかしながら、既存の換気用ファン、ダクト等は利用する事になる。起こりうる唯一の統合に関する問題は、このコレクターと換気用機器を既存の建物の中にいかにうまく組み入れるかである。
メンテナンス
このコレクターは信頼の置けるものであり、また換気用システムを構成するファン、ダンパーを除き、稼動部分がない。そこで漏れ、凍結、加熱並びに有期限がない。ユーザーからパネルの吸収面における退化現象、穴詰まり等に関するクレームもおきていない。仮に、コレクターがへこんでも性能上は殆ど影響はない。
装置の保障
ファンは、メーカーの 1年保障となっているしまた、コレクターに使用されているペイントは、20年保証となっている。
Code 及びStandard
Fire Code に関し、本コレクターが1階建ての建物に適用する場合は安全であると判断されている。またポリエチレン製の空気ダクトは、Fire
codeでは、難燃性材料となっている(Flame-Retardant
Material)。外気の排出口、建物の外壁に付けるダクトの対候性、ダクトの最小厚み、高層階適用の基準に関するBuilding
Code及び規制は、施工の度毎に十分検討されなければならない。Codeの適用については、建物の高さ、面積、建築の方法、使用者の種類によって変わりうるものである。
ユーティリティに関する優遇策
これについては適用されていない。
省エネ
Canada
、OakvilleにあるFord社のアセンブリー工場は、本コレクターを1990年に設置した。20,000ft2(1,858m2)のコレクターを使用し、45ft(13.7m)の高さの天井を持ち28,000ft2(2,601m2)の面積を持つ工場に暖房用空気を供給している。このシステムは、5,811MBtuの省エネ効果を生み出しており、年間30,000ドルのメリットを上げている。この省エネ効果は、プラント全体の年間暖房費用の17%を占めていると言う。回収年は、5年以内である。
本コレクターがGMの工場に設置されたのは1991年であり、設置面積は4,520ft2であった(420m2)。39,000ft2(3,623m2)の面積を持つ工場の暖房をまかない、年間940MBtuの省エネを行ない、10,200ドルのメリットを出している。
メンテナンス
実際に使用しているユーザーからの報告では、殆どメンテナンス・フリーである。一部換気用部品(ファンベルト、潤滑油)の補充は必要であるが、その頻度は極めて少ない。
尚、以下の内容については、省略する。
- 計測と省エネ計算
- ケーススタデイーGMのバッテリー工場
- 本技術の展望
- 製品の製造について
- 今後の問い合わせ先
参考文献 以上
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